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お金の成り立ち

お金とは何か?

「お金はバーチャルなものです」と言われたら、どう感じますか?「まさか!食費に教育費に家賃…お金こそ現実(リアル)そのものじゃないか!」と考える方もいれば、「何をいまさら。そりゃそうだ。しょせん紙切れ。価値だって増えたり減ったりするし、食べられるわけじゃない」と思う方もいるでしょう。

どちらも正しいのだろうと思います。「お金とは何か?」という問いの答えには、そのままその人の人生観や価値観を反映されるといっても過言ではありません。ですから、これが正しいという唯一の答えはないのだと思います。

しかし「仕事とは?」「結婚とは?」「自由とは?」「生きるとは?」といったほかの”大きな問い”と同じように、自分なりの答えがないよりはあったほうが、お金と対等に付き合えるのではないでしょうか。

金女

物々交換を便利にした「通貨」という道具

目の前にある田畑からとれた食べ物を食べ、味噌や醤油を自作し、移動は徒歩か馬でして、裏山から伐ってきた木とカヤで家を建て、麻や綿で糸を紡いで機織りをして衣服を調達していたころ、お金は必要ありませんでした。

差別用語になってしまった「百◯」という言葉も、元は生きていくのに100のことをできなければならない現実から生まれたと言われています。

しかし、人には好き嫌いや得手不得手があります。分業して専門性を高めたほうが、効率よく高品質のものができることに気づいた人々は、ある人が米を育てている間に別の人は麻を育てて服をつくり、後で交換するスタイルを確立します。物々交換です。

ところが、物々交換はその都度オーダーメイドで成立させなければならない取引です。お互いの欲求や必要性が一致しないとスムーズに交換できない不便さがあります。

そこで、物々交換をスムーズにする手段として「お金」が発明されました。これにより、自分が持っているものの価値を一度お金にすれば、いつでもどこでも誰とでも、「相当分の何か」と交換できるようになりました。

野菜

これはきっと、相当なイノベーションだったでしょう。当時の人は「何これ超便利じゃん!」ってなったに違いありません。ただし、最初のお金は今のような紙幣やコインとはまるで違っていて、米小麦、塩、油、布などの、希少性がありながら普遍的なニーズがあり、分割が比較的容易で劣化しにくい「モノ」が通貨として採用されていました。

「だったら、通貨になるものをつくる人が得をするから、みんなそればかりつくるじゃないか」と思ってしまいますが、そういったことにはなりませんでした。

なぜならば、あくまでも物々交換の道具なので、交換対象がなければ意味がないからです。例えば、お米が通貨の役割をする村でみんながお米をつくったら、何とも交換できない上に、通貨のほうは溢れかえってしまい、わずかな交換対象に通貨がたくさん集まります。

「あれ、だったら交換対象になる布をつくっておけばよかった」となるわけです。つくりすぎたり、必要なのにつくらなかったり、という一時的な”やらかし”があったとしても、バランスがとれていくわけですね。しかも、物々交換の効率が上がったことで時間にゆとりができますし、通貨には希少性があるので競争が促されます。

そうして、それまでになかった新しいものがつくられたり、同じものでも他の人とは違う特徴が付加されたり。つまり、健全な競争や切磋琢磨が起こり、差別化が図られていきます。通貨は、経済成長を促して、人々の幸福の総量を増やすことに寄与したのです。

わかった!

実体のない”お金”の登場

モノから始まった通貨は、金属の鋳造貨幣へと変遷していき、最終的に「金-GOLD-」に収束します。そして登場したのが「銀行」です。

銀行は、いちいち金貨を持ち歩くのが大変だし、そのへんにとっ散らかしておくと心もとない、という人々の不便さを解消するための「一時保管場所」でした。そして、銀行に金を預けると預かり証が発行され、その預かり証が金を持っていることを証明してくれるというシステムが生まれました。

この預かり証が「紙幣」、「紙幣のバックには必ず金が控えている」という状態が、「金本位制」です。このシステムを続けるうち、誰も「金」を取りに来ないことがわかってきました。そこで、銀行のトップは従業員に紙幣で給与を支払い始めます。

外国の紙幣

また、当面使うあてのない人々から預かった分から、今必要としている人にお金を供与する、「融資」という銀行の基本的なサービスがローンチされ、万が一返ってこないことを考慮したリスクヘッジのための「利子」が誕生します。

銀行の利益分となる利子は、モノやサービスという価値とは直接関係のない「リスク」と裏表の、実体のないお金。利子の誕生は、実体のないお金の誕生でもありました。

その後、通貨の発行権を掌握する中央銀行や、「融資」とは別の「投資」という方法でお金を融通する「株式」と、その「株式」が取引される「株式市場」といった新たな金融システムが登場。

1929年のアメリカ株式市場での株大暴落とそれに続く世界恐慌を経て、第二次世界大戦後のブレトン・ウッズ会議で米ドルが金と交換できる唯一の通貨となりました。アメリカが世界の中央銀行になったわけです。

そして1971年に、お金の歴史上稀に見る大転換が起こります。通称「ニクソンショック」です。歴史の教科書にも必ず出てくる、金本位制の崩壊です。世界の銀行であるアメリカのニクソン大統領がドル紙幣と金の交換停止を宣言したのです。

これにより、世界に流通する紙幣の概念がガラリとかわります。金という裏付けがなくても、中央銀行は紙幣をいくらでも刷ることができるようになりました。その必要があったから、交換しないことを決めたのです。こうして通貨は、すでに出てきた利子や株式などと同じように、「実体のないお金」になりました。

ゴールド

世界をめぐるお金を全部使うことはできない

その結果が、次のような現状です。実体経済、つまり「実際に価値のあるモノやサービスの生産と取引」の世界全体の総額(全国家のGDPの合計)が年間約30兆ドル。これに対して、上に出てきたさまざまな「お金」の取引量は、年間300兆ドルという試算があります。

モノやサービスは地球にある資源や人間の時間がなければ生産されず、資源も時間も有限なので生産量もおのずと限られてきます。今のお金のうちの9割は、その限界とは無関係に増殖し、この世界を日々駆け巡っている分なのです。お金は300兆ドルあるけれども、その交換対象は30兆ドル分しかない、という状況です。

世界恐慌

こうして歴史を紐解いてみると、「お金」は時代に合わせてたびたびその”ありよう”を変えてきたことがわかります。しかし、いくつかの基本的な役割は変わっていないようにも思います。

まずは、「交換手段」。これに付随して、「価値の尺度」です。いくらのお金と交換できるかで、モノやサービスが他者にとってどのくらい価値があるかが判断できます。

そして、「価値の貯蔵」。自分の時間や能力、それを使って生産したモノやサービスをお金という劣化しないものに変換することで、貯めておくことができます。

冒頭に記したように、「お金とは何か?」という問いの答えには、これ、という唯一の答えはないのだと思いますが、筆者が好きなお金の説明は次のようなものです。

「お金とは、ひとりひとりの眠っている能力を引き出すツールである。」

お金が価値の交換手段であり、価値の尺度でもあるとすれば、お金を積極的に稼いだり増やそうとすることは、他者のニーズに高いレベルで応え、価値を提供しようとすることと同じです。そのプロセスを通して、眠っている能力が引き出される。

とても前向きで、素敵なお金との付き合い方だと思いませんか?これからもお金の先生を読んで、お金を増やすプロセスを学び、みなさんの中に眠っている能力を存分に引き出していってください。

社会人1年目